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歯周病の検査では何を調べる?
歯周病専門医が再評価まで詳しく解説

2026/09/15



歯周病の検査では、歯と歯ぐきの間に細い器具を入れたり、歯を軽く動かしたりします。
「何を調べているのだろう」「歯石を取った後に、なぜもう一度検査するの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。

歯周病は、歯ぐきだけの病気ではありません。進行すると、歯を支える歯根膜や歯槽骨が失われ、最終的には歯が揺れて抜けることがあります。
ところが、初期から中等度までは痛みがほとんどありません。
そのため、自覚症状だけではなく、数値や画像によって病気の広がりと進行度を把握する必要があります。

新潟市西区のいとう歯科診療室では、日本歯周病学会の歯周病専門医および日本臨床歯周病学会の歯周病認定医が、検査結果に基づいて診断と治療計画を立てています。

歯周病検査から治療までの流れ

歯周病治療は、一般的に「問診・検査」「診断」「歯周基本治療」「再評価」「必要に応じた歯周外科治療」「再評価」「SPT・メインテナンス」という順序で進みます。

最初に、歯ぐきからの出血、腫れ、口臭、歯の揺れ、食べ物の挟まりやすさなどの有無を確認します。
喫煙、糖尿病、服用薬、歯ぎしりや食いしばりなども、歯周病の進行や治療結果に関係するため重要です。

次に、歯周ポケットの深さ、検査時の出血、歯ぐきの退縮、歯の揺れ、奥歯の根の分かれ目などを調べます。
口腔内写真とエックス線写真も撮影し、歯ぐきの状態と、歯を支える骨の状態を確認します。

歯周病が中等度から重度に進行している方には、歯を支える骨のなくなり方を立体的に把握するためにCT撮影を行うこともあります。

>>治療の流れ

歯周プローブで何が分かるのか

歯周病検査の中心となる器具が、先端に目盛りのついた「歯周プローブ」です。
歯と歯ぐきの境目に慎重に挿入し、歯周ポケットの深さを測ります。

歯周病は一本の歯でも、表側と裏側、歯と歯の間で進行度が異なります。
そのため、専門的な歯周病検査では、一本の歯の周囲を複数箇所に分けて記録します。
お口全体の数値を並べることで、炎症がどこに集中しているのか、骨の喪失と整合しているかを確認できます。

健康な歯ぐきの歯周ポケットは、一般的に13ミリ程度です。ただし、数値が深いだけで歯周病の重症度が決まるわけではありません。
歯ぐきが腫れて深く測定される場合もあれば、歯ぐきが下がったため、ポケットが浅く見える場合もあります。

そこで、ポケットの深さと歯ぐきの退縮量から、「クリニカルアタッチメントレベル」を確認します。
これは、歯を支える組織がこれまでにどの程度失われたかを判断するための重要な指標です。


検査時の出血は、現在の炎症を示すサイン

プローブを入れた際の出血を「プロービング時出血」といいます。
適切な力で検査した際に出血する場所は、歯ぐきの中に炎症が残っている可能性があります。

歯周ポケットが深くても出血がない場所と、深いポケットがあり出血も認められる場所では、治療後の注意度が異なります。
そのため、単に「何ミリだったか」だけではなく、出血の有無を部位ごとに記録します。

同時に、プラークが残っている場所も確認します。
歯周病治療では、歯科医院で歯石を除去するだけでなく、患者さん自身が毎日の歯みがきで細菌性プラークを管理できることが重要です。

 

歯の揺れと奥歯の根の間も確認します

歯周病によって歯を支える骨が減ると、歯が揺れることがあります。器具で歯を軽く動かし、揺れの方向や程度を記録します。

ただし、歯の揺れには、かみ合わせの負担や歯ぎしり、歯根の状態などが関係する場合もあります。
揺れているからすぐに抜歯するのではなく、歯周組織、エックス線画像、かみ合わせなどを総合して、歯を残せる可能性を判断します。

奥歯には複数の歯根があり、その分かれ目を「根分岐部」といいます。歯周病が根分岐部まで進むと清掃が難しくなります。
根分岐部まで歯周病が進んだ歯は歯周病重度と判定され、予後が悪いので注意が必要です。
湾曲したファーケーションプローブを使用し、病変の広がりを確認します。



エックス線写真から骨の形を読み取る

エックス線写真では、歯を支える骨の高さ、骨が失われた方向、歯根の形、根分岐部の状態などを確認します。

骨が全体的に水平に減っているのか、特定の歯の周囲だけ縦方向に深く失われているのかによって、治療方法は異なります。
条件が合えば、失われた歯周組織の回復を図る歯周組織再生療法を検討できる場合もあります。

プローブ検査は歯周ポケットの深さや現在の炎症を調べるもの、エックス線写真は主に骨の状態を調べるものです。
どちらか一方ではなく、両方の結果を重ね合わせることが、正確な診断につながります。


再評価は、歯周病治療の分岐点です

歯みがきの仕方をはじめ、食生活を含めた生活習慣の改善、歯石やプラークの除去、かみ合わせへの対応などを行う段階を「歯周基本治療」といいます。
その後、歯ぐきの炎症が落ち着く時期を待って、もう一度検査を行います。
これが「再評価」です。

再評価は、単なる検査のやり直しではありません。
治療前と同じ部位を同じ基準で測り、歯周ポケットが浅くなったか、出血が減ったか、プラークを管理できているか、歯の揺れに変化があるかを比較します。

歯周基本治療だけで大きく改善する場所もあります。
一方で、歯ぐきの奥深くに歯石や炎症が残り、深い歯周ポケットや出血が続く場所もあります。
再評価によって、この違いを一本の歯、さらに歯の各部位ごとに確認します。

改善が不十分な部分には、再度の歯石除去を行うのか、歯周外科治療が必要なのか、歯周組織再生療法の適応があるのかを検討します。
歯を残すことの利点とリスクも含め、治療方法を選択するための分岐点が再評価なのです。



治療後はSPTで安定した状態を守ります

歯周病が改善しても、失われた骨や歯ぐきの状態が完全に元へ戻るとは限りません。
治療によって病状が安定していても、その状態を維持するために「SPT(歯周病安定期治療)」を行います。

SPTでは、歯周ポケットや出血の確認、プラーク・歯石の除去、セルフケアの確認などを継続します。
受診間隔は一律ではなく、歯周病の重症度、残っているポケット、喫煙や糖尿病などのリスクによって判断します。

新潟市で歯周病専門の治療をお探しの方、重度歯周病や抜歯を勧められた歯について相談したい方は、いとう歯科診療室へご相談ください。
歯周病専門医として、検査・診断・治療・再評価・SPTまで一貫して考え、可能な限り歯を残す方法を検討します。


この記事の執筆・監修


伊藤 陸
いとう歯科診療室 院長
日本歯周病学会 歯周病専門医
日本臨床歯周病学会 歯周病認定医

新潟市西区で、歯周病の検査・診断、歯周基本治療、歯周外科治療、歯周組織再生療法、治療後のSPTまで一貫した歯周病治療を行っています。
[院長プロフィールはこちら]

代表的な文献・エビデンス

  • 日本歯周病学会『歯周治療のガイドライン2022
  • Salviら「Clinical periodontal diagnosis」(2023
  • Reddy「The use of periodontal probes and radiographs in clinical trials of diagnostic tests」(1997
  • Sanzら「Treatment of stage I–III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline」(2020

歯を失うと認知症のリスクが3倍に?
── 久山町研究から紐解く「歯周病管理」の重要性

2026/01/29




皆様、こんにちは。新潟市西区のいとう歯科診療室です。

近年、テレビや雑誌でも「歯の健康と全身疾患の関わり」が注目されるようになりました。
その中でも特に、多くの方が関心を持たれているのが「認知症」との関係です。

今回は、日本における疫学研究の金字塔といわれる「久山町研究」のデータをベースにしたシステマティックレビュー(多くの研究を統合した信頼性の高い分析)をもとに、歯周病専門医として私たちができることについてお話しします。


久山町研究が示した「歯の数」と「認知症」の衝撃的な関係

 

福岡県久山町で長年行われているこの研究では、興味深いデータが示されています。

  • 残っている歯が少ないほど、認知症のリスクが高まる
  • 歯がほとんどなく、入れ歯も使用していない人は、20本以上歯がある人に比べて認知症の発症リスクが最大で約3倍になる

なぜ、口の中の健康が「脳」にまで影響を及ぼすのでしょうか?
脳を守るための2つのキーワード:「噛む刺激」と「慢性炎症」

  1. 「噛む」ことが脳を活性化する しっかりと自分の歯で噛むことで、脳の血流が促進され、記憶を司る「海馬」や、思考を司る「前頭葉」に刺激が送られます。
    歯を失い、噛む刺激が減ることは、脳への刺激を失うことと同義なのです。

  2. 歯周病菌が脳に悪影響を与える 近年の研究では、歯周病の原因菌や、それによって引き起こされる「炎症物質(サイトカイン)」が血液を通じて脳に運ばれ、アルツハイマー型認知症の原因物質とされる「アミロイドβ」の蓄積を促進する可能性が指摘されています。


歯周病専門医だからこそできること

 

「歯を失ってから」ではなく、「歯を失わないための高度な管理」こそが、認知症予防の第一歩です。
歯周病専門医のいる当院では、以下のステップを通じて皆様の「脳の健康」をサポートします。

  • 精密な歯周組織の検査

    レントゲンや歯周ポケット検査を行い、目に見えない部分の炎症を徹底的にチェックします。


  • 専門的な細菌コントロール(バイオフィルムの除去)
    ご自身では落とせない深いポケット内の細菌を徹底的に除去し、全身への炎症の波及を食い止めます。

  • 欠損への適切な対応(インプラント・入れ歯)
    もしすでに歯を失ってしまっている場合でも、インプラントや適合の良い入れ歯によって「噛む力」を取り戻すことは、脳の老化を遅らせる大きな力になります。



「一生、自分の足で歩き、自分の脳で考える」ために


認知症は、発症してから治療するのが難しい病気です。
だからこそ、今ある歯を守る「予防」と、今起きている歯周病を止める「治療」が、将来のあなた自身を助けることになります。

「最近、しっかり噛めていないな」「歯ぐきから血が出るけれど、痛くないから大丈夫かな」 そんなサインを見逃さないでください。

歯周病専門医として、皆様が一生おいしく食事を楽しみ、自分らしく生き生きと過ごせるよう全力でサポートさせていただきます。




【エビデンスのまとめ:科学が証明する歯と脳のつながり】


今回の内容は、日本を代表する医学研究である「久山町(ひさやままち)研究」などの信頼性の高いデータに基づいています。

  • 歯の数と認知症のリスク
    1,000人以上を長期間追跡した調査により、歯がほとんどなく入れ歯も使っていない人は、歯が20本以上ある人に比べて、認知症(特にアルツハイマー型)の発症リスクが大幅に高まることが示されています。
  • 「噛む」ことが脳を守る
    多くの研究をまとめた分析(システマティックレビュー)では、自分の歯でしっかり噛む刺激が、脳の記憶を司る部分(海馬など)の活性化に深く関わっていることが分かっています。
  • 歯周病菌の影響
    近年の医学研究では、歯周病によるお口の中の「炎症」が、血液を通じて脳に悪影響を及ぼす物質を増やす可能性が強く指摘されています。つまり、「歯周病を専門的に管理し、噛む機能を維持すること」は、単にお口の問題だけでなく、将来の脳の健康を守るための、科学的根拠のある有効な手段と言えます。

つまり、「歯周病を専門的に管理し、噛む機能を維持すること」は、単にお口の問題だけでなく、将来の脳の健康を守るための、科学的根拠のある有効な手段と言えます。


いとう歯科診療室
  • Web: https://www.ito-dental-office.jp
  • アクセス: 内野西が丘駅から徒歩5分
  • 診療内容: 歯周病専門治療、精密予防、インプラント、再生療法