Basic course 2025への参加 世界基準の根管治療を目指して ③
2025/07/27
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6月下旬に松浦顯先生主催のBasic Course2025 第3回に参加してきました。
待ちに待った、マイクロエンド実習が福岡で行われました。
今までの講義で頭でっかちになっていることを実技で落とし込む。
抜去歯を使って、顕微鏡など設備が整っている研修施設で修行を積んできました。
さて、この研修施設、実は獣医さん向けの施設なのです。
獣医さんは小さい動物も扱うのでしょうから、顕微鏡を使うのが当たり前なのでしょうか?
人の治療でも顕微鏡を使うのは一部の歯科医師に限られるのに。
保険診療で異常に低く設定されている診療費で治療を行わないとならない医師、歯科医師、と比べ獣医さんは保険制度がない、つまり自費診療なので、最新の設備、材料で治療を行うのでしょう。
今、病院の倒産が相次いでいます、看護師の離職も問題になっています。歯科衛生士の離職率も50%を越えました。歯科技工士はもう絶滅危惧種で、今後、保険で義歯を製作する技工士は確実にいなくなります。これら、医療を取り巻く諸問題は全て、この低診療報酬にあると思います。
皆さん、日本の診療費は高いと思いますか?世界中、こんな安価で治療を受けられる国はありません。もし、日本の診療費が高いと思っているのであれば、世界の先進国がどうなっているのか知る必要があります。
「世界に冠たる日本の保険診療」とか言ってる人は頭がお花畑です。いままでは安価に、どこでも医療が受けられるという良い側面もありましたが、何十年も変わらないこの制度は、物価高騰や人件費高騰、働き方改革についていけず、国も財源がなく、時代に合わなくなっていると思います。医療を支えるコメディカルスタッフの方々がどんどん離職しています。病院の倒産のニュースも頻繁に目にするようになりました。
おっと、今回は日本の保険制度の話ではありませんでした。ヒートアップしてしまいます。
なぜ、保険制度を語らないといけないのか。
今回、なぜ私が米国式根管治療を学びに時間的にも経済的にも投資しているのか、ですが、それは日本の従来の根管治療から脱却し、材料も質も最高の医療を提供したいという思いからです。まともなことがしたいと願う歯科医師の純粋な思いです。ただ、この方法を日本の保険診療下ではとても行えない。
なぜなら、日本の保険制度では、ざっくりですが大臼歯の根管治療は1万円ちょいです。その3割を負担するのですから皆様のお支払いは3,000円ちょいですね。75歳以上だと1,000円ちょいでしょうか。アメリカの歯科医師が日本の診療費を聞くと安価すぎて腰を抜かします(笑)。いや、笑えない。
米国式根管治療で行うと、使用する器具、材料費で1万円を超えてしまいます。
つまり、施術している歯科医師、補助につくスタッフは完全にタダ働きです。
論文や臨床的な結果から見て、従来のハンドファイルで治療を行うより、顕微鏡を用い、ラバーダムをかけてNi-Tiロータリーファイルを用いて、根管充填にはバイオセラミック系シーラーを用いる米国式根管治療が明らかに良い方法であるのに、先進国であるはずの日本ではとても行えません。大赤字です。
じゃあ、明らかに劣っている従来の方法で良いのか?
私は根管治療に関しては米国式根管治療を導入して、西区で歯周病と根管治療では目立つ存在になりたいと思っています。
ここ、数年はトレーニングのため、赤字覚悟でやっていこうと思いますが、将来的には技術、高価な材料に見合う、自費診療へと切り替えていきたいと思っています。
さて、実習ですが、CTにてあらかじめ根管形態を確認し、形態や難易度によってやる手順を決めて取り掛かっていきますが、今までのハンドファイルとは比べられないほど、根管内は綺麗に形成され、そしてハンドファイルより早いのです。
細かい手順や技術は記載しませんが、一度、米国式根管治療を経験すると、元には戻れないと感じました。
そして、実習で各ステップに行う手順の重要性、必要性がよく理解できました。
あとは顕微鏡の扱いをトレーニングするのと、この根管治療の手順を体に染み込ませるのみですが、1年はかかるかな。