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院長コラム

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根管治療は何回で終わる?保険診療と自由診療で回数が違う理由

2026/10/13




「根管治療は、あと何回で終わりますか」

根管治療を受けている患者さんから、よく聞かれる質問です。
痛みが治まった後も治療が続くと、「なぜ何度も通うのだろう」と不安になる方もいらっしゃるでしょう。

根管治療の回数は、歯の状態だけでなく、初めての治療か再治療か、保険診療か自由診療かによっても変わります。
今回は、新潟市西区のいとう歯科診療室が、根管治療に必要な回数と、治療が長引く理由を解説します。

 

根管治療は何回で終わるのでしょうか

根管治療とは、歯の内部にある細い管から、感染した神経や組織を取り除き、清掃・消毒する治療です。

感染や炎症が軽い初回治療であれば、比較的少ない回数で終えられる場合があります。
一方、次のようなケースでは治療回数が増えることがあります。

  • 根管内の感染が強い
  • 歯の根の先に膿がたまっている
  • 根管が細い(特に高齢者)、曲がっている、枝分かれしている
  • 過去に治療した歯を再治療する
  • 根管からの排膿や出血が続いている
  • 古い薬剤や器具を取り除く必要がある

特に奥歯は根管が複数あり、形も複雑なため、前歯より治療に時間がかかる傾向があります。

とはいえ、歯の状態にもよりますが、当院では概ね2回~4回で治療を終えております。
単純な前歯、小臼歯は1回で終えることもあります。

 


痛みがなくなっても、治療が終わったとは限りません

根管治療を始めると、痛みが早い段階で軽くなることがあります。
しかし、痛みがなくなったことと、根管内の清掃・消毒が完了したことは同じではありません。

細菌や感染した組織が残った状態で治療を中断すると、再び痛みや腫れが生じる可能性があります。
仮のふたのまま長期間放置すれば、すき間から細菌が入り、歯を残すことが難しくなる場合もあります。

根管治療を始めたら、被せ物が入るまで治療を継続することが大切です。



保険診療と自由診療では、なぜ回数が違うのでしょうか

保険診療は、患者さんの費用負担を抑えられることが大きな利点です。
一方、診療報酬や予約体制などの関係から、1回に確保できる診療時間が限られ、清掃、消毒、状態の確認などを複数回に分けることがあります。

自由診療では、1回の診療に比較的長い時間を確保しやすくなります。
複数の工程を1回にまとめられるため、結果として通院回数が少なくなる場合があります。

ただし、保険診療だから必ず回数が多い、自由診療だから必ず1回で終わるということではありません。
感染の程度や根管の形によっては、自由診療でも複数回の治療が必要な場合もあります。

通院回数の少なさだけで、治療の良し悪しを判断することはできませんが、可及的に無菌状態で治療を行った方が良いため、なるべく少ない回数で治療は終えた方がよいと考えられています。

稀に根管治療で延々と半年~年単位で治療が行われている場合もあるようですが、治療のエンドポイントが明確ではないため、いたずらに回数が増えているのではないでしょうか。


当院の自由診療による根管治療

当院の自由診療では、次のような診療環境を整えています。

  • マイクロスコープによる拡大視野での治療
  • 歯科用CTによる根管や病巣の確認
  • ラバーダムによる唾液や細菌の侵入防止
  • ニッケルチタンファイルなどを用いた根管形成
  • 症例に応じた薬剤や充填材料の選択・1回あたりの長い診療時間

設備や器具は、導入するだけで治療の質が決まるものではありません。
それぞれの特徴を理解し、歯の状態に応じて適切に使用する知識と技術が必要です。

当院院長の伊藤は、福岡市の「まつうら歯科医院・歯内療法専門室」において、米国歯内療法専門医の松浦顯先生から根管治療に関する研修を受け、現在も継続して知識と技術の研鑽に取り組んでいます。



根管治療が終わっても、歯の治療は続きます

根管の清掃・消毒と薬剤の充填が終わっても、歯の治療がすべて完了したわけではありません。

根管治療後の歯は割れやすくなっていることがあるため、土台を立て、被せ物を装着して保護する工程が必要です。

「根管治療はあと何回か」だけでなく、「被せ物が入るまで何回かかるか」も確認すると、治療全体の見通しが分かりやすくなります。



歯周病と歯の根の病気を分けて診断します

歯のぐらつきや噛んだときの痛みは、歯周病によって起こる場合もあれば、歯の根の先の炎症が原因の場合もあります。両方の病気が同時に存在することもあります。

いとう歯科診療室では、歯周病専門医として歯ぐきや歯を支える骨の状態を確認するとともに、歯の内部や根の先も診査し、歯を残すための治療方法を検討します。

 


まとめ

根管治療の回数は、感染の程度、根管の形、初回治療か再治療か、1回に確保できる診療時間などによって異なります。

大切なのは、可及的に少ない回数で、必要な清掃と消毒を行い、再感染を防ぎながら歯を残すことです。

新潟市西区で、根管治療が長引いている、過去に治療した歯が再び痛む、歯を残せるか相談したいという方は、いとう歯科診療室へご相談ください。



この記事の根拠となるエビデンス

日本歯内療法学会の『歯内療法診療ガイドライン』では、初回根管治療を1回で行う方法と複数回に分ける方法を比較していますが、治癒率に明確な差は認められていません。

2022年のコクラン・レビューでも、1回法と複数回法の間で、レントゲン上の治癒などに明確な差を示す十分な証拠はないとされています。

また、米国歯内療法学会は、根管治療中の感染管理と患者さんの安全確保のため、ラバーダムによる治療対象歯の隔離を標準的な方法として位置づけています。


>>世界基準の根管治療を目指して

Advanced Course2026への参加 世界基準の外科的根管治療を目指して③

2026/10/09


「歯科麻酔と各種伝達麻酔(講義と相互実習)」

 

今回は歯髄炎などの急性症状がある場合や
外科的根管治療を行う上での各種麻酔方法を
講義と実習で学びました。

 

麻酔薬の種類から、各部位における麻酔の方法を講義で学び、
実習を行いました。

 

普段、1日に何回も麻酔をする我々ですが、
実習で自分にされるとなると、
なかにはとても緊張している先生もいらっしゃいました(笑)。

実習で習得する手技は、下顎孔伝達麻酔と頬神経ブロックです。

私は勤務医時代に下顎の大臼歯のむし歯の処置などには
下顎孔伝達麻酔を行っていたので、
伝達麻酔に対する恐れのようなものはありませんでしたが、
今までやっていた方法(3進法)とは違い、直達法を学びました。
簡単ですし、麻酔時の痛みもそれほどありません。

麻酔って、針を刺すときに痛みを感じると思っている
患者さんが多いのですが、針を刺すときではなく、
麻酔薬を注入して圧力が増すときが痛いのです。

下顎孔伝達麻酔は組織が疎な部分に麻酔液を解き放つので
痛みはそれほどありません。

 

ちなみにアメリカでは下顎の小臼歯、
大臼歯の治療には伝達麻酔を行うことがほとんどで、
小児にも行うとのことでした。

 

日本では浸潤麻酔が主な方法ですが、下顎の大臼歯は骨が硬く、
麻酔薬が浸透しないため、麻酔が効きにくいと思っている
先生方も多いのではないでしょうか?

実際、今回の実習でも下顎孔伝達麻酔をはじめて行う
先生方も結構いらっしゃいました。

 

アメリカでは少し認識が違うようです。

下顎は伝達麻酔が奏功すると、その効果時間は長いので、
じっくり施術に取り組める。

むしろ上顎は麻酔が奏功しやすいが効果時間が短いので、
外科的な処置の際には難しいとの認識のようです。

 

上顎:おもに浸潤麻酔

下顎:下顎孔伝達麻酔、頬神経ブロック→浸潤麻酔→歯根膜麻酔

 

が麻酔の手順となります。

 

また、麻酔薬にはエピネフリン含有のもの、
そして高濃度エピネフリン含有のもの(日本では未発売)、
エピネフリン無添加のもの、それぞれの特徴について学びました。

麻酔薬自体には血管拡張作用があるので、
血管収縮作用をもつエピネフリンが添加されてないと、
拡張した血管から麻酔薬が流れ出てしまい、
効果が早く切れてしまうからです。

 

ただ伝達麻酔のように神経付近に解き放つような麻酔の方法では
エピネフリン無添加の麻酔薬でも十分に奏功することができます。

 

実習では左右に下顎孔伝達麻酔を行いました。
左右どちらかにエピネフリン含有のキシロカインを、
もう片方にエピネフリンが含まれてないスキャンドネストを
お互い打ち合いました。

 

私もお相手の先生も左にキシロカイン、
右にスキャンドネストを打ち合いましたが、
左はあまり奏功せず、右はバリバリ、ビリビリ、
完全に知覚がなくなりました。

奏功しているかどうかはコールドテストを行いますが、
テストを行うワッテが歯に触れている感覚さえありませんでした。

これが伝達麻酔の威力か~。

よく患者さんから「完全にビリビリです」とか
言われることがありますが、実体験しました。

麻酔をしていない前歯にコールドテスト行ってもらいましたが、
瞬時に凍みて、顔を背けてしまうほどでした。

 

さて、でも左は効かなかった。ですよね。

これは手技が甘いと言うことではなく、
初回の伝達麻酔で奏功する確率は55%ですので、
約半分の割合しか奏功しないと研究データがあります。

ある意味、論文通りの結果になりました。

ですので、伝達麻酔だけでなく、
浸潤麻酔、歯根膜麻酔など複合技で
痛みを取り除いていくことになります。

 

午前中に麻酔の実習があったので、
お昼は「うなぎチャーハン」という今まで食べたことのない、
おいしいチャーハンでしたが、
完全に麻酔が効いている右側の頬を噛まないよう、
ゆっくり食べなければなりませんでした。

 

今回は普段、当たり前のようにおこなっている麻酔
について深掘りすることができました。

 

そして久しぶりの博多、よかったな~。

 

次回は第4回「CBCTの分析方法と外科治療への応用、その他諸々」
です。

 

歯周病の検査では何を調べる?
歯周病専門医が再評価まで詳しく解説

2026/09/15



歯周病の検査では、歯と歯ぐきの間に細い器具を入れたり、歯を軽く動かしたりします。
「何を調べているのだろう」「歯石を取った後に、なぜもう一度検査するの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。

歯周病は、歯ぐきだけの病気ではありません。進行すると、歯を支える歯根膜や歯槽骨が失われ、最終的には歯が揺れて抜けることがあります。
ところが、初期から中等度までは痛みがほとんどありません。
そのため、自覚症状だけではなく、数値や画像によって病気の広がりと進行度を把握する必要があります。

新潟市西区のいとう歯科診療室では、日本歯周病学会の歯周病専門医および日本臨床歯周病学会の歯周病認定医が、検査結果に基づいて診断と治療計画を立てています。

歯周病検査から治療までの流れ

歯周病治療は、一般的に「問診・検査」「診断」「歯周基本治療」「再評価」「必要に応じた歯周外科治療」「再評価」「SPT・メインテナンス」という順序で進みます。

最初に、歯ぐきからの出血、腫れ、口臭、歯の揺れ、食べ物の挟まりやすさなどの有無を確認します。
喫煙、糖尿病、服用薬、歯ぎしりや食いしばりなども、歯周病の進行や治療結果に関係するため重要です。

次に、歯周ポケットの深さ、検査時の出血、歯ぐきの退縮、歯の揺れ、奥歯の根の分かれ目などを調べます。
口腔内写真とエックス線写真も撮影し、歯ぐきの状態と、歯を支える骨の状態を確認します。

歯周病が中等度から重度に進行している方には、歯を支える骨のなくなり方を立体的に把握するためにCT撮影を行うこともあります。

>>治療の流れ

歯周プローブで何が分かるのか

歯周病検査の中心となる器具が、先端に目盛りのついた「歯周プローブ」です。
歯と歯ぐきの境目に慎重に挿入し、歯周ポケットの深さを測ります。

歯周病は一本の歯でも、表側と裏側、歯と歯の間で進行度が異なります。
そのため、専門的な歯周病検査では、一本の歯の周囲を複数箇所に分けて記録します。
お口全体の数値を並べることで、炎症がどこに集中しているのか、骨の喪失と整合しているかを確認できます。

健康な歯ぐきの歯周ポケットは、一般的に1〜3ミリ程度です。ただし、数値が深いだけで歯周病の重症度が決まるわけではありません。
歯ぐきが腫れて深く測定される場合もあれば、歯ぐきが下がったため、ポケットが浅く見える場合もあります。

そこで、ポケットの深さと歯ぐきの退縮量から、「クリニカルアタッチメントレベル」を確認します。
これは、歯を支える組織がこれまでにどの程度失われたかを判断するための重要な指標です。


検査時の出血は、現在の炎症を示すサイン

プローブを入れた際の出血を「プロービング時出血」といいます。
適切な力で検査した際に出血する場所は、歯ぐきの中に炎症が残っている可能性があります。

歯周ポケットが深くても出血がない場所と、深いポケットがあり出血も認められる場所では、治療後の注意度が異なります。
そのため、単に「何ミリだったか」だけではなく、出血の有無を部位ごとに記録します。

同時に、プラークが残っている場所も確認します。
歯周病治療では、歯科医院で歯石を除去するだけでなく、患者さん自身が毎日の歯みがきで細菌性プラークを管理できることが重要です。

 

歯の揺れと奥歯の根の間も確認します

歯周病によって歯を支える骨が減ると、歯が揺れることがあります。器具で歯を軽く動かし、揺れの方向や程度を記録します。

ただし、歯の揺れには、かみ合わせの負担や歯ぎしり、歯根の状態などが関係する場合もあります。
揺れているからすぐに抜歯するのではなく、歯周組織、エックス線画像、かみ合わせなどを総合して、歯を残せる可能性を判断します。

奥歯には複数の歯根があり、その分かれ目を「根分岐部」といいます。歯周病が根分岐部まで進むと清掃が難しくなります。
根分岐部まで歯周病が進んだ歯は歯周病重度と判定され、予後が悪いので注意が必要です。
湾曲したファーケーションプローブを使用し、病変の広がりを確認します。



エックス線写真から骨の形を読み取る

エックス線写真では、歯を支える骨の高さ、骨が失われた方向、歯根の形、根分岐部の状態などを確認します。

骨が全体的に水平に減っているのか、特定の歯の周囲だけ縦方向に深く失われているのかによって、治療方法は異なります。
条件が合えば、失われた歯周組織の回復を図る歯周組織再生療法を検討できる場合もあります。

プローブ検査は歯周ポケットの深さや現在の炎症を調べるもの、エックス線写真は主に骨の状態を調べるものです。
どちらか一方ではなく、両方の結果を重ね合わせることが、正確な診断につながります。


再評価は、歯周病治療の分岐点です

歯みがきの仕方をはじめ、食生活を含めた生活習慣の改善、歯石やプラークの除去、かみ合わせへの対応などを行う段階を「歯周基本治療」といいます。
その後、歯ぐきの炎症が落ち着く時期を待って、もう一度検査を行います。
これが「再評価」です。

再評価は、単なる検査のやり直しではありません。
治療前と同じ部位を同じ基準で測り、歯周ポケットが浅くなったか、出血が減ったか、プラークを管理できているか、歯の揺れに変化があるかを比較します。

歯周基本治療だけで大きく改善する場所もあります。
一方で、歯ぐきの奥深くに歯石や炎症が残り、深い歯周ポケットや出血が続く場所もあります。
再評価によって、この違いを一本の歯、さらに歯の各部位ごとに確認します。

改善が不十分な部分には、再度の歯石除去を行うのか、歯周外科治療が必要なのか、歯周組織再生療法の適応があるのかを検討します。
歯を残すことの利点とリスクも含め、治療方法を選択するための分岐点が再評価なのです。



治療後はSPTで安定した状態を守ります

歯周病が改善しても、失われた骨や歯ぐきの状態が完全に元へ戻るとは限りません。
治療によって病状が安定していても、その状態を維持するために「SPT(歯周病安定期治療)」を行います。

SPTでは、歯周ポケットや出血の確認、プラーク・歯石の除去、セルフケアの確認などを継続します。
受診間隔は一律ではなく、歯周病の重症度、残っているポケット、喫煙や糖尿病などのリスクによって判断します。

新潟市で歯周病専門の治療をお探しの方、重度歯周病や抜歯を勧められた歯について相談したい方は、いとう歯科診療室へご相談ください。
歯周病専門医として、検査・診断・治療・再評価・SPTまで一貫して考え、可能な限り歯を残す方法を検討します。


この記事の執筆・監修


伊藤 陸
いとう歯科診療室 院長
日本歯周病学会 歯周病専門医
日本臨床歯周病学会 歯周病認定医

新潟市西区で、歯周病の検査・診断、歯周基本治療、歯周外科治療、歯周組織再生療法、治療後のSPTまで一貫した歯周病治療を行っています。
[院長プロフィールはこちら]

代表的な文献・エビデンス

  • 日本歯周病学会『歯周治療のガイドライン2022』
  • Salviら「Clinical periodontal diagnosis」(2023)
  • Reddy「The use of periodontal probes and radiographs in clinical trials of diagnostic tests」(1997)
  • Sanzら「Treatment of stage I–III periodontitis—The EFP S3 level clinical practice guideline」(2020)

Advanced Course2026への参加 世界基準の外科的根管治療を目指して②

2026/09/10

「Intentional Replantation」

今回はIntentional Replantation(意図的再植)について学びました。

はて?

歯科医師でない方はさっぱりわからないと思います。
場合によっては歯科医師でも知らない人がいたりして(笑)。

歯の根の内部が細菌感染起こした場合、根管治療が必要になりますが、
当たり前ですがすべてのケースで治癒するわけではありません。

それは治療の手技、根管の形態や感染している細菌の種類、
各患者さんの免疫などが複雑に絡み合うからです。

ですから治癒しなかった場合、次のステップに上がることになります。

その次のステップには方法が2つあり、
1つは前回の講義で学んだ歯根端切除術という方法、
細菌感染起こしている歯根の先端を切り取って、
根の先から細菌が逸出しないように封鎖することで治癒へ導く方法。

そしてもう一つがIntentional Replantation(意図的再植)で、
これは一度、根尖病変のある歯を抜去して、
口腔外で病変のある歯根の先端を切り落とし、 封鎖して、戻すという方法です。

根尖への扱いは同じですが、抜かずにやるか、抜いてやるかの違いです。

患者さんに、意図的再植や自家歯牙移植などの話をすると、
「そんなことできるんですか!?」
と驚かれることがありますが、当院での術後をかえりみると
、意外と成功率は高いです。

ただ、高い成功率を維持するには、術前の精密な検査が必要になります。

もちろんCT撮影は必須です。

むやみに移植や意図的再植をしてもうまくはいきません。
症例の選択が必要になります。

この意図的再植、一度抜去して、口腔外で処置して戻すという
ハイリスクな治療になるので、 歯科先進国のアメリカでは、
より予知性の高いインプラントへとシフトしているせいで、
意図的再植のプロトコールが存在しません。

また、アメリカではすべての処置が高額であるため、
意図的再植よりインプラントが選択されるのだと思います。

日々、材料も進化しているので、意図的再植の成功率も上がっていると
推測はされるものの後押ししてくれる研究データがありません。

ただ、当院での臨床結果、臨床的な感覚としては、
インプラントを考える前の中継ぎ的な治療としては
十分考慮に値するのとはないかと思います。

実際、移植や意図的再植を行い、10年以上保存できている症例もあります。

さすがに意図的再植は自費治療にはなりますが、16万円程度で行います。
インプラントの治療費は40~50万円するので半額以下になります。
症例によっては十分検討の余地があると思います。

アメリカでは「Last Resort」と呼ばれる意図的再植における、
マイクロ、超音波、生体親和性にすぐれたバイオセラミックセメント
などのモダンエンドの技術を応用したプロトコール、を今回学びました。

今までも自己流で行ってきましたが、より術式が明確になりました。

これからも根管治療の最終手段、そしてインプラントに移行するまでの
一手として、 自家歯牙移植や意図的再植を行っていこうと思っています。

お口の乾燥は歯周病にも影響します

2026/08/18



新潟市の歯周病専門医が解説する「唾液」の大切な働き

「最近、口の中が乾きやすい」
「朝起きると、口の中がネバネバする」
「以前より口臭が気になる」

このような症状は、唾液の分泌量が減っているサインかもしれません。

唾液には、お口の中を清潔に保ち、むし歯や歯周病から歯を守る働きがあります。
そのため、お口の乾燥を放置すると、歯周病の発症や進行に影響することがあります。

新潟市西区のいとう歯科診療室が、唾液の働きと歯周病との関係について解説します。


 

唾液がお口を守る働き

唾液は、単なる水分ではありません。主に次のような役割があります。

  • 食べ物をまとめ、飲み込みやすくする
  • 食べかすや細菌を洗い流す
  • 細菌の増殖を抑える
  • 酸性になったお口の中を中性に近づける
  • 歯の再石灰化を助け、むし歯を防ぐ
  • 味を感じやすくする

唾液が少なくなると、食べ物が飲み込みにくい、口の中がヒリヒリする、味を感じにくいといった症状が現れることもあります。


 

唾液の減少と歯周病の関係

歯周病は、歯と歯ぐきの境目にたまったプラーク(細菌のかたまり)によって炎症が起こる病気です。

唾液が減ると、お口の中の汚れや細菌を洗い流す「自浄作用」が低下し、プラークが停滞しやすくなります。
その結果、次のようなトラブルにつながることがあります。

  • 歯ぐきの腫れや出血
  • 口臭
  • むし歯や歯周病
  • 舌や粘膜の痛み
  • 入れ歯による傷や違和感

ただし、口のネバつきや口臭があるからといって、必ずしも歯周病とは限りません。
口呼吸や服用している薬、全身疾患などが関係している場合もあります。

症状だけで判断せず、歯周病検査によってお口の状態を確認することが大切です。


 

唾液が減る主な原因

唾液の分泌量は、加齢だけでなく、次のような原因でも減少します。

  • 水分不足・薬の副作用
  • ストレスや緊張
  • 口呼吸
  • 喫煙や飲酒
  • 糖尿病などの全身疾患
  • 唾液腺の病気

特に暑い時期は、汗によって体内の水分が失われやすくなります。
のどが渇く前から、こまめな水分補給を心がけましょう。

薬の影響が疑われる場合も、ご自身の判断で服用を中止せず、歯科医師や処方した医師へご相談ください。

 

日常生活でできること

お口の乾燥を防ぐためには、次のことを意識しましょう。

  • 一口ずつよく噛んで食べる
  • 水やお茶でこまめに水分を補給する
  • 口呼吸になっていないか確認する
  • 丁寧な歯みがきと歯間清掃を続ける・定期的に歯周病検査を受ける

シュガーレスガムや唾液腺マッサージが役立つ場合もありますが、お口に痛みや腫れがある方、飲み込みに不安がある方は、歯科医師へご相談ください。


 

新潟市で歯周病専門医をお探しの方へ

歯周病は、初期には自覚症状が少なく、気づかないまま進行することがあります。

「歯ぐきから血が出る」「朝、口の中がネバネバする」「口臭が気になる」といった症状がある方は、早めに検査を受けましょう。

新潟市西区のいとう歯科診療室では、日本歯周病学会認定の歯周病専門医が、検査と診断に基づいた歯周病治療を行っています。

新潟市内や新潟駅方面で歯周病専門医をお探しの方は、いとう歯科診療室へご相談ください。

>>院長(歯周病専門医)紹介はこちら

 

参考資料

本記事は、日本歯周病学会の『高齢者の歯周治療ガイドライン2023』をもとに作成しています。
同ガイドラインでは、唾液分泌量の減少によって口腔内の自浄作用が低下し、口臭やむし歯、歯周病のリスクが高まることが示されています。
また、日本歯科医師会も、唾液には自浄作用や抗菌作用があり、口腔乾燥によってむし歯や歯周病が進行しやすくなると説明しています。

Advanced Course2026への参加 世界基準の外科的根管治療を目指して①

2026/08/02


今年度も根管治療を濃密に学ぶ期間が始まりました。

昨年度は非外科的根管治療、いわゆる皆さんが想像する根管治療を学び、
本年度は外科的根管治療を学びます。これで根管治療界隈を網羅することになります。

 

さて、第1回は「Apicoectomyの基本と応用」でした。

Apicoectomyとは歯根端切除術のことです。病変のある根の先を切断する外科処置になります。
主に非外科的根管治療で治癒しなかった場合の次の一手として施術されます。

日本の一般歯科臨床で行われることもありますし、
私も自分なりに工夫してやってきて良い結果を導き出していますが、
日本の教育現場ではApicoectomyに関して研究結果や論文結果を
ベースに治療に対する考え方や術式・プロトコールが教えられることはありません。

独自にやっている感が否めず、大学病院でさえ歯根端切除を行った後、
逆根管充填せず、切りっぱなしだったりすることがあります。

切りっぱなしだと治癒率は50%、逆根管形成・充填した場合は96%
とその治癒率には大きな差があります。

根管治療と同様、世界基準に達してないということになります。

 

えっ、日本の歯科医療ですごいんじゃないの?

と思っている方はアメリカ・インディアナ大学補綴科大学院
を修了した土屋嘉都彦先生の著書「歯科医療後進国日本」
を読まれることをおすすめします。

日本の歯科医療の世界における立ち位置がよくわかります。

 

それはさておき、Apicoectomyに関しては先ほど、自分なりに工夫し、
よい結果を得てきたと記載しましたが、
私がApicoectomyの対象としてきたのは上顎前歯だけです。

講師であり米国歯内療法専門医である松浦先生は6番の近心根、
条件が整えば7番まで治療対象になるので驚きです。

それにはもちろん、様々なテクニック、必要な道具などがあります。

 

今回の講義では、

CTでの分析、切開・剥離、骨削除、歯根端切除、逆根管形成、逆根管充填、
縫合についての内容でした。それぞれにエビデンスに基づいた術式、
臨床面でのコツについての解説があり、盛りだくさんでした。

そろえるべき器具や薬剤なども紹介があり、大変勉強になりました。

自分なりに工夫するのも大事ですが、まずは世界基準のやり方をマスターしてから、
自分なりに工夫していくことの必要性を感じました。

こんな大変なことを保険診療で行う気は毛頭ありません。

歯根端切除や意図的再植などの外科処置は自費治療での対応になります。

 

今回から座学はオンラインで受講できるようになり、
時間的・経済的には大変楽になりましたが、博多に行くのも精神的なリフレッシュになるので、
微妙なところです。

次回も、オンライン。次々回は実習なので博多、楽しみです。

神経を残せるむし歯、残せないむし歯
― 世界基準の根管治療を学ぶ中で感じること ―

2026/05/28




「できるだけ神経を残したいです」

むし歯治療の相談で、患者さんからよく聞く言葉です。

もちろん、私たち歯科医師も、可能であれば歯の神経(歯髄)は残したいと考えています。

なぜなら、神経には単に「痛みを感じる」だけではない、大切な役割があるからです。

歯に栄養を届ける。
異常を知らせる。
歯の強度を保つ。

神経を残せるか否かは、その後の歯の寿命にも大きく関わってきます。

一方で、無理に神経を残そうとすることで、後から大きな炎症や再治療につながるケースもあります。

つまり大切なのは、「神経を残すこと」そのものではなく、“長期的に安定する状態をつくれるか”なのです。


むし歯は少しずつ歯の内部へ進行していきます

むし歯は、お口の中の細菌(むし歯菌)が糖を分解して作り出す「酸」によって歯が溶かされる病気です。

初期段階では歯の表面だけの変化ですが、進行すると内部の象牙質、さらに歯の神経へと広がっていきます。

 

一般的には、

  • C1:表面のむし歯
  • C2:象牙質まで進行
  • C3:神経まで進行
  • C4:歯の根まで大きく崩壊

という分類が行われます。

神経を残せるかどうかは、この「感染の広がり方」が大きく関係しています。


神経を残せる可能性があるケースとは

例えば、

むし歯は大きいが、全く症状がない場合は、神経を残せる可能性が高いです。

  • 冷たいものがしみる
  • 甘いものがしみる
  • ただし刺激を外すと数秒で落ち着く

このような段階であれば、神経を残せる可能性が高くはないが、あります。

一方で、

  • 何もしなくてもズキズキ痛む
  • 痛くて咬めない
  • 夜眠れない
  • 痛み止めが効きにくい

こうした状態では、神経の炎症が強く、神経を残せる可能性はほぼないでしょう。

ただし、これはあくまで目安です。

実際にはレントゲンやマイクロスコープでの確認、症状、むし歯の深さ、歯の状態などを総合的に診断して判断していきます。


歯髄まで進行しても神経を残せる場合があります

以前は、「神経まで達したむし歯=神経を取る」という考え方が一般的でした。

しかし現在では、条件が整えば、神経を保存できる可能性があります。

その際に使用される代表的な材料が「MTAセメント」「バイオセラミックパテ」です。

MTAやバイオセラミックパテは殺菌性と封鎖性に優れた材料で、神経を保護しながら回復を促す目的で使用されます。

場合によっては炎症が起きている神経を部分的に切断・除去し、炎症の起きてない神経を保存する断髄という方法もあります。

ただし、どんなケースでも神経を残せるわけではありません。

感染、炎症の程度や細菌のコントロール状態によっては、無理に残すことで後から大きなトラブルにつながることもあります。

そのため、診断が非常に重要になります。

残念ながら神経を残すことができずに、いわゆる神経をとると表現されることが多いですが、根管治療へ移行することもあります。



世界基準の根管治療では「感染管理」を重視します

当院では、近年、世界基準の歯内療法(根管治療)の導入を進めています。

マイクロスコープ(歯科用顕微鏡)、Ni-Tiロータリーファイル、ラバーダム防湿、バイオセラミックシーラーなどを使用し、細菌感染をできる限りコントロールしながら治療を行っています。

根管治療は、単に「神経を取る処置」ではありません。

どれだけ細菌を減らせるか。
どれだけ再感染を防げるか。

そこが治療結果を大きく左右します。

特にラバーダム防湿は必須です。

唾液の中には多くの細菌が存在しています。治療中に唾液が入り込めば、せっかく内部をきれいにしても再感染の原因になってしまいます。

世界基準の根管治療では、この感染管理を徹底する考え方が基本となっています。


神経を失った歯にはリスクもあります

神経を取った歯は、痛みを感じなくなるため、再発したむし歯に気付きにくくなります。

また、根管治療では歯の内部を広げる処置が必要になるため、歯そのものがもろくなる傾向があります。

その結果、歯根破折(歯の根が割れること)を起こし、抜歯に至るケースも少なくありません。
特にむし歯が歯の内部まで進行している場合、歯ぐきの上に健全な歯が残っていない場合は、歯根破折を起こしやすくなります。

世界基準での根管治療では、なるべく将来、歯根破折が生じないよう配慮して治療をしています。

可能であれば神経は残したい。それは術者、患者さん、双方の願いと思います。

しかし、感染が進行しているにも関わらず無理に保存することは、かえって歯の寿命を縮めてしまう場合もあります。

大切なのは、「神経を残すこと」だけを目的にしないことです。


本当に大切なのは「根管治療が必要になる前」に守ること

実際には、「神経を残すか、取るか」という段階まで進行しないことが理想です。

そのためには、

  • 定期的なメインテナンス
  • 初期むし歯の早期発見
  • リスク管理
  • 清掃環境の改善
  • 噛み合わせの確認

こうした日常的な管理がとても重要になります。

高度な根管治療は、歯を残すための大切な選択肢です。

しかし、本当に大切なのは、「根管治療が必要になる前に守ること」。

それが、予防歯科の本質だと、私たちは考えています。


参考文献・参考資料

  • 日本歯科保存学会「歯髄保護の診療ガイドライン」
  • 日本歯内療法学会
  • 九州大学「歯内治療ってなに?」
  • MTAセメント関連文献
  • 歯内療法に関する国際的ガイドライン

>>世界基準の根管治療を目指して

歯周病の方に本当に必要なのは「フロス」ではなく「歯間ブラシ」です
― ヨーロッパ歯周病学の推奨から考えるセルフケア ―

2026/04/23





新潟市で歯周病専門医による治療をご希望の方へ。
歯周病のことなら、いとう歯科診療室へご相談ください。

歯周病の治療を受けている患者さんから、よくこんな質問をいただきます。
「歯と歯の間は、フロスでいいのでしょうか?」

一見すると正解のように思えるこの問いですが、歯周病の状態によって答えは変わります。

とくに、4mm以上の歯周ポケットが多く存在する方にとって、歯間部の清掃方法は治療結果を左右する重要なポイントになります。

現在、ヨーロッパ歯周病連盟(EFP)では、歯間ブラシが入るスペースがある場合、デンタルフロスではなく歯間ブラシの使用を推奨しています。

その背景には、システマティックレビューによるエビデンスがあります。
歯間ブラシはフロスに比べて技量に左右されにくく、より安定してプラーク除去効果が得られるとされています。

もちろんフロスでも除去は可能ですが、「正しく使い続けること」が難しいという現実があります。
その点、歯間ブラシは日常的に使いやすく、再現性の高いケア方法です。

「通るサイズ」ではなく「効くサイズ」を選ぶ

臨床現場では、「通しやすさ」を優先して細すぎる歯間ブラシを使っているケースが多く見られます。

しかしこれは、ブラシが通っているだけで清掃できていない状態です。

歯間ブラシは「入ること」ではなく「しっかり当たること」が重要です。

ISO規格3以上のサイズが入る歯間部には、適切なサイズを選択することが推奨されます。サイズ選びは歯科衛生士による評価が非常に重要です。


フロスが適しているケースもある

すべての歯間部に歯間ブラシが適しているわけではありません。

歯間が狭い部位では、無理に使用すると歯ぐきを傷つける可能性があります。
場合によっては、歯ぐきが歯間ブラシによって下がってしまいます。この場合はデンタルフロスが適しています。

大切なのは、部位ごとに最適な清掃方法を使い分けることです。


歯間清掃は「歯ブラシの前」に行う

ヨーロッパ歯周病学では、歯間ブラシやフロスは歯ブラシの前に使用することが推奨されています。

先に歯間部のプラークを除去することで、歯ブラシの効果が高まり、フッ化物なども行き渡りやすくなります。


歯周病治療の質は日常ケアで決まる

歯周病治療は医院での処置だけではなく、日常のセルフケアによって大きく左右されます。

正しいサイズの歯間ブラシを使い、適切な順番でケアを行うこと。
それが歯を長く守るための最も現実的な方法です。

新潟市で歯周病専門医による診断・治療をご希望の方、歯周病のことなら「いとう歯科診療室」へ。
検査からセルフケア指導まで、一人ひとりに合わせた治療を行っています。

>>当院の特徴はこちら

Basic Course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して⑫

2026/04/05


いよいよ最終回の3月。症例発表とサーティフィケート授与でした。
毎月博多に通いましたが、1月、2月に飛行機が無事に飛んでくれて、すべてのカリキュラムを消化できたことに、その運に感謝!

これは日本海側に住んでいる人にしかわからないですよね。

 

私は残根状態の歯を矯正挺出および歯冠長延長術を行い、フェルールを確保し、根管治療を行った症例、前歯部の大きな根尖病変を外科処置も視野に入れながら根管治療のみで改善傾向にある症例、そして、メインテナンス中にサイナストラクトが生じた大臼歯の症例を発表させて頂きました。

 

皆、1年間の成果を発表しました。全員合格でサーティフィケート授与されました。

この不採算半端ない根管治療の分野で世界基準を目指す、それだけで僕らは貴重な存在ではないでしょうか。

でも、これからは世界基準の技術を安売りするのではなく、それなりの対価を得るような仕組みを考えないと持続可能とはなりません。

いわゆるSDGsってやつです。そしてSDGsからほど遠いのが医療業界。県立病院は軒並み赤字、看護師不足。歯科界でも歯科衛生士の新卒の離職率も30%を越え(全体での離職率はもっと高い)、歯科技工士はもはや絶滅危惧種。

この原因は簡単、国が定める保険診療の報酬が先進国各国と比べて腰抜かすほど安いからです。

つまり僕らはOECD先進諸外国の2倍患者を診ても、得られる報酬は1/2から1/3、超生産性が低いのが医療業界。病院や診療所が十分な利益を得ることができなければ、それを支えるスタッフまで利潤回らず、全体が地盤沈下している状態。だと私は思っています。また、各治療で諸外国とどれくらい違うかは別の回でブログにあげようと思っています。

 

今回、松浦先生が指導する世界基準の根管治療を導入するにあたり、セミナー受講料、1年間博多へ通う交通費、宿泊料、顕微鏡含め導入機器、総額いくらかかっているでしょう??

 

そう、トヨタRAV4ハイブリッド1台購入できるくらいくらいかかっているのですよ。

根管治療で保険診療だと前歯 約1200円、臼歯 約4700円ですが(笑)、これでは投資分を埋めることができません。ちなみに松浦先生が卒業したUSC(南カリフォルニア大学)では、日本円で10万円以下では、根管治療しないように、と指導しているそうですし、師匠の松浦先生も早期に自費へ移行しなさいとおっしゃっております。

 

同じことをしているのになぜこれほど値段に差が出るのでしょう。いくら各国で保険制度が違うといえども、その差がえげつない。エグい。

保険診療で、世界基準の根管治療をすることはもはや不可能です。

これは患者さんにも考えて頂きたいと思っています。

根管治療だけでなく、義歯も、むし歯の治療もすべてです。

 

私がセミナー受講前の根管治療の道具とセミナー受講後の世界基準の根管治療での道具の違いの写真を掲載します。

 

<受講前の根管治療>



<受講後の根管治療>

これだけ違うんですよ。

わかって頂けるでしょうか?大きな違いは顕微鏡とNI-Tiロータリーファイルの使用です。使う薬剤ももちろん違います。ラバーダムは必ずします。

 

その違いがわかる患者さんを丁寧に治療していくことが当院の目標ですが、いきなり自費診療へ移行すると、驚かれると思うので、徐々に改革していこうと思っています。それまでは赤字ですが、この新しいシステムに移行して2年目、さらに慣れていくことを目標とします。

 

治療をする我々、受ける患者さん、双方にとって高め合っていくような環境を作ることができたらと思っています。

 

そして来年度からAdvance Course2026がはじまります。もちろん受講予定です。内容は外科的歯内療法(歯根端切除、意図的再植)について徹底的に学びます。

これで世界基準の根管治療を網羅します!

来年度も厳冬期に実習があるので、飛行機、無事に飛んでくれるといいのですが。

【新潟市西区・歯周病専門医】日本人の2人に1人が「中等度歯周病」という現実。
8020運動の裏に潜む“残存歯のジレンマ”とは?

2026/03/24




「歯を失うのは高齢者だけの問題」と思っていませんか?
実は今、日本の歯科医療現場では、ある「皮肉な現象」が起きています。

こんにちは。新潟市西区、内野西が丘駅近くの「いとう歯科診療室」です。
当院は、西区でも数少ない日本歯周病学会認定の「歯周病専門医」として、その場しのぎの処置ではなく、お口全体を一単位として捉える「根本治療」に力を入れています。

今回は、最新の統計から見えてきた日本人の歯の現状と、私たちが直面している「歯周病のジレンマ」についてお話しします。

8020運動の成功が招いた「新たなリスク」

かつて、日本の歯科界が掲げた「8020運動(80歳で20本の歯を残そう)」。
この運動は大きな成果を上げ、自分の歯で噛み続けたいという願いを持つ方々は確実に増えました。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。

歯が残るということは、それだけ「歯周病やむしばに感染するリスクのある場所」がお口の中に残り続けるということでもあるのです。

近年の歯科医学界では、これを「残存歯のジレンマ」と呼ぶことがあります。
せっかく残した大切な歯が、適切なケアなしでは歯周病の温床となり、最終的には骨を溶かしてドミノ倒しのように抜け落ちてしまう。
これが、現代の日本人が直面しているリアルな危機です。


なぜ「歯周病専門医」による検査が必要なのか

統計によれば、日本人の約8割が歯周病に罹患していると言われる一方で、本当に適切な歯周病治療を提供できている歯科医院は、全体の10%にも満たないのが現状かもしれません。

多くの歯科医院では、痛いところだけを削り、詰め物をして終わります。
しかし、歯周病治療はいわば「建物の基礎工事」です。
基礎がグラグラの地盤に、いくら高価な被せ物をしても、長く持つはずがありません。

当院では、初診の受付時に必ず「当院ではお口全体を診ます」とお伝えします。
痛みがない部分も含めて、口腔内写真、レントゲン、歯周組織検査を徹底するのは、この「基礎」の状態を科学的に把握するためです。

>>当院の特徴


あなたの歯を壊す「3つの増悪因子」

歯周病は単なる「お口の汚れ」ではなく、細菌感染症です。進行を加速させる要因は、大きく分けて3つあります。

  1. バイオフィルムの放置(細菌の攻撃)
    歯の表面にこびりついたバイオフィルムは、細菌の強固な要塞です。
    これが繁殖し放題の状態は、お口の中に毒素を撒き散らしているのと同じです。

  2. 糖尿病(全身疾患との関連)
    血糖値のコントロールが難しい方は、そうでない方に比べて歯周ポケットが深くなりやすく、重症化しやすいことがエビデンスとして確立されています。

  3. 喫煙習慣
    1日10本以上の喫煙は、歯を支える骨(歯槽骨)が溶けるスピードを劇的に早めます。

私はかつて分子生物学を専攻し、研究の道を歩んでいました。
その科学的な視点から見ても、歯周病は毛細血管を通じて全身に炎症を広げる恐ろしい病気です。
だからこそ、根拠に基づいた精密な治療が欠かせません。


「患者さん」は、共に歩むパートナー

歯周病治療は、私たち歯科医師や歯科衛生士だけで完結するものではありません。
役割は医療側と患者さんで「半々」であると考えています。
私たちは、皆さんの大切な歯を守るための「パートナー」でありたいのです。

当院では、検査後に1時間ほどかけて説明の時間を設けます。
それは、病状だけでなく、患者さんのライフスタイルや価値観に合わせて治療計画を立てるためです。

「親からもらった歯を粗末にしてしまった自分への戒めに」と、自費治療を含めた徹底的なケアを決意された80代の患者さんがいらっしゃいます。
その方は今も、素晴らしい口腔内環境を維持されています。
こうした「行動変容」こそが、私たちが提供したい真の価値です。

新潟市西区の皆さんが、欧米諸国のように「予防のために歯科へ行く」のが当たり前になるように。
歯周病専門医として、妥協のない技術と情熱で、あなたの「一生モノの健康」をサポートします。


参考文献・エビデンス資料

  • 令和4年 歯科疾患実態調査結果の概要(厚生労働省)
    日本の歯科保健状況を把握するための最も権威ある統計調査。
    45歳以上の約半数に4mm以上の歯周ポケットが認められる現状や、高齢者の残存歯数が増加している一方で、歯周組織に問題を抱える割合が高止まりしている実態が報告されています。

  • 歯周病患者における糖尿病患者への対応ガイドライン 2023(特定非営利活動法人 日本歯周病学会)
    糖尿病が歯周炎の発症・進行に及ぼす影響と、逆に歯周治療が血糖コントロールの改善に寄与する相互作用を科学的根拠に基づき詳述した最新の指針です。

  • 歯周治療の指針 2022(特定非営利活動法人 日本歯周病学会)

    歯周病治療の標準的な流れと、喫煙が歯周組織の治癒を阻害し、歯肉の血流を阻害して破壊を加速させるメカニズムについて解説した臨床指針。
    1日10本以上の喫煙が及ぼすハイリスク性についても言及されています。

  • 「8020運動」の達成状況と今後の歯科保健の課題(8020推進財団)
    8020運動の成果により残存歯数が増加した結果、これまで以上に歯周病管理が必要な「歯」が口腔内に多く残ることとなり、その管理が国民の健康寿命延伸の鍵であるとする論説。

  • Periodontal Disease and Systemic Health(Journal of Periodontology)
    歯周病原細菌が血流を介して全身に波及し、心血管疾患や低体重児出産などの全身疾患に関与することを裏付ける国際的な学術論文。