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世界基準の根管治療を目指して

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Basic Course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して⑫

2026/04/05


いよいよ最終回の3月。症例発表とサーティフィケート授与でした。
毎月博多に通いましたが、1月、2月に飛行機が無事に飛んでくれて、すべてのカリキュラムを消化できたことに、その運に感謝!

これは日本海側に住んでいる人にしかわからないですよね。

 

私は残根状態の歯を矯正挺出および歯冠長延長術を行い、フェルールを確保し、根管治療を行った症例、前歯部の大きな根尖病変を外科処置も視野に入れながら根管治療のみで改善傾向にある症例、そして、メインテナンス中にサイナストラクトが生じた大臼歯の症例を発表させて頂きました。

 

皆、1年間の成果を発表しました。全員合格でサーティフィケート授与されました。

この不採算半端ない根管治療の分野で世界基準を目指す、それだけで僕らは貴重な存在ではないでしょうか。

でも、これからは世界基準の技術を安売りするのではなく、それなりの対価を得るような仕組みを考えないと持続可能とはなりません。

いわゆるSDGsってやつです。そしてSDGsからほど遠いのが医療業界。県立病院は軒並み赤字、看護師不足。歯科界でも歯科衛生士の新卒の離職率も30%を越え(全体での離職率はもっと高い)、歯科技工士はもはや絶滅危惧種。

この原因は簡単、国が定める保険診療の報酬が先進国各国と比べて腰抜かすほど安いからです。

つまり僕らはOECD先進諸外国の2倍患者を診ても、得られる報酬は1/2から1/3、超生産性が低いのが医療業界。病院や診療所が十分な利益を得ることができなければ、それを支えるスタッフまで利潤回らず、全体が地盤沈下している状態。だと私は思っています。また、各治療で諸外国とどれくらい違うかは別の回でブログにあげようと思っています。

 

今回、松浦先生が指導する世界基準の根管治療を導入するにあたり、セミナー受講料、1年間博多へ通う交通費、宿泊料、顕微鏡含め導入機器、総額いくらかかっているでしょう??

 

そう、トヨタRAV4ハイブリッド1台購入できるくらいくらいかかっているのですよ。

根管治療で保険診療だと前歯 約1200円、臼歯 約4700円ですが(笑)、これでは投資分を埋めることができません。ちなみに松浦先生が卒業したUSC(南カリフォルニア大学)では、日本円で10万円以下では、根管治療しないように、と指導しているそうですし、師匠の松浦先生も早期に自費へ移行しなさいとおっしゃっております。

 

同じことをしているのになぜこれほど値段に差が出るのでしょう。いくら各国で保険制度が違うといえども、その差がえげつない。エグい。

保険診療で、世界基準の根管治療をすることはもはや不可能です。

これは患者さんにも考えて頂きたいと思っています。

根管治療だけでなく、義歯も、むし歯の治療もすべてです。

 

私がセミナー受講前の根管治療の道具とセミナー受講後の世界基準の根管治療での道具の違いの写真を掲載します。

 

<受講前の根管治療>



<受講後の根管治療>

これだけ違うんですよ。

わかって頂けるでしょうか?大きな違いは顕微鏡とNI-Tiロータリーファイルの使用です。使う薬剤ももちろん違います。ラバーダムは必ずします。

 

その違いがわかる患者さんを丁寧に治療していくことが当院の目標ですが、いきなり自費診療へ移行すると、驚かれると思うので、徐々に改革していこうと思っています。それまでは赤字ですが、この新しいシステムに移行して2年目、さらに慣れていくことを目標とします。

 

治療をする我々、受ける患者さん、双方にとって高め合っていくような環境を作ることができたらと思っています。

 

そして来年度からAdvance Course2026がはじまります。もちろん受講予定です。内容は外科的歯内療法(歯根端切除、意図的再植)について徹底的に学びます。

これで世界基準の根管治療を網羅します!

来年度も厳冬期に実習があるので、飛行機、無事に飛んでくれるといいのですが。

Basic Course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して⑪

2026/02/23


2月はマイクロエンドテストが行われました。この週は運良く天気も良く、気温も上がり、無事に博多まで行くことができました。

 

テストといっても、厳しい雰囲気ではなく、和気あいあい行われました。本当にわかりやすい講義、身になる実習でありながら、このような雰囲気で行われるセミナーはめずらしく、松浦先生のお人柄によるものでしょうか。

 

さてテストですが、ある程度の制限時間内に上下大臼歯1本ずつを根管充填まで行い、写真やレントゲン写真を見て、松浦先生を始め、受講生から評価して頂くといったものです。

折角の機会なので、上顎はMB根が途中から3方向に分かれている難しい歯を選択しました。結果はMB根の3方向へ分岐しているそれぞれの根管にシーラーが流れてくれるかと思いましたが、形成した主根管のみ根管充填がなされ、分岐した根管にはシーラーさえも流れ込んでくれませんでした。分岐した根管へ流れ込むこともあれば、流れ込まないこともある。この違いはなんだろう??

松浦先生にもみていただきましたが「これはしょうがない。臨床であれば、経過観察し、病変ができるようであれば歯根端切除へ移行する」と評価頂きました。

 

私なりの分析としては、主根管の形成時のデブリが分岐している根管に詰まったのではないか、ということです。

もちろん、洗浄は十分に行いながら根管形成していますが、分岐した方向にはPatencyできないので詰まるのでしょう。

分岐した方向へシーラーが流れる場合は、運良く分岐の方へデブリが詰まらなかった、根管充填時に分岐の方向へマスターポイント挿入時に圧力が適度にかかった、などの好条件が重なったものではなかろうか。

 

難しい根管をきれいに処置している先生方もいらっしゃいました。皆さんやりますな~。受講生みな、制限時間に課題を終え、合格しました。

 

ファイルが折れる先生方もいましたね、かくいう私も20号のファイルが折れて、リカバリーしたので、時間がかかりました。

 

現在、当院では松浦先生から教わった米国式根管治療を保険でやっているので、大赤字なのです。少しでも赤字を減らすべくメーカーが示している再利用できるギリギリの回数、6回までファイルを滅菌して使用していますが、本当は新品を使い捨てで使用したいし、そうあるべきだと強く思いました。そうすればファイルの破折リスクをずいぶん減らせるのではないかと思います。

 

さて、3月はいよいよセミナー最終回。症例発表を行い、サーティフィケート授与となります。

Basic Course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して⑨、⑩

2026/02/07


Basic Course 2025 第9回 

外科的歯内療法(歯根端切除術)の基礎, 支台築造の基礎とその実習

Basic Course 2025 第10回 実習(大臼歯)

 昨年末はバタバタしていてブログの更新が遅れてしまいました。

今回は第9回と第10回の合併号とさせて頂きます。

 

さてまず第9回ですが、外科的歯内療法、つまり通常の根管治療で治癒しなかった場合、

日本では治癒するまで根管治療を半年間以上ねばってやられることもあるようですが、しっかりした方法で、根管治療を行った場合、治癒しないものは治癒しませんので、次の段階に進む必要があります。

それが、外科的歯内療法です。外科的歯内療法には「歯根端切除術」、「意図的再植」があります。それぞれ適応症があり、すべての歯に適応されるわけではありませんが、これが根管治療最後の砦となり、この外科的歯内療法を含め、根管治療の成功率は9割を越えます。

 

ですので「外科的歯内療法をマスターできないと、根管治療の土俵に上がれない」というのが師匠(松浦先生)のお言葉です。

今回はその導入部分のお話でした。

来年度Advance course 2026に参加し、外科的歯内療法を学んでいくつもりです。

今までも前歯を中心に歯根端切除術は行っておりましたが、より科学的根拠に基づく術式、また、術野が十分確保しにくい6番の近心まで対象となるその方法を学びます。

 

第10回では大臼歯の抜去歯を用いて、実習を行いました。

受講生もすでに臨床で米国式根管治療を行っているせいか、皆、スムーズに実習に取り組み、次々と根管充填までこなしておりました。

臨床での疑問点が、実習でわかることも多いのです。

たとえば、Ni-Tiロータリーファイルは拡大においてはストレスなく、早く行えますが、どの程度までファイリングするのか、自分は回転しない状態でそのファイルが目標のところまでスムーズに入るまでファイリングしています。そうするとどうしてもファイリングの作業が多くなるので、ほとんどの場合、先端にデブリ(切削くず)が詰まります。ですので号数が上がるたびにPatency File(10号のファイルを1mmほど穿通させる)を行う必要があります。

このPatency Fileをサボると、根尖からバイオセラミックシーラーが出ない、臨床であれば根尖病変がある場合、シーラーパフができないことを意味します。

実習では抜去歯を用いて根管治療を行うので、臨床ではできない、根管充填後に根尖を確認することができます。Patency Fileしないと抜去歯の根尖からシーラーが出てきません、デブリが根尖に詰まっているからでしょう。面倒ではありますが、丁寧なファイリングとPatency Fileの操作が形成の際には重要ではないかと考えています。

 

いよいよ残すところあと2回、次回は実習(テスト)、次々回は症例発表となります。

 

1月は1週ずれたら大雪のため飛行機飛ばなかったな(汗)。

来月も無事に往復できますように!

Basic Course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して⑧

2025/12/08



今回は生活歯髄療法(VPT:Vital Pulp Therapy)についての講義でした。

 

はてVPTとは?歯髄療法?

 

実は日常臨床でVPTを行うか悩む場面に多々遭遇します。

例えば、痛みはないけど深いむし歯で歯髄(神経と血管を含む組織)ギリギリまで進行していて、むし歯を取り切ったときに少し歯髄が露出するケース。

転んだり、野球のボールがぶつかって歯が折れたり、欠けたりして歯髄が露出するケース。

これらのケースに関しては、歯髄に感染や炎症が生じてない可能性もあり、なんとか歯髄を保存し、歯を生きた生活歯のまま保存できないか、と試行錯誤するわけです。これがVPT。

VPTにも色々と方法があります。

 

  • 歯髄が露出した部分を被覆して、歯髄を保存する方法:Direct Pulp Capping
  • やや歯髄に感染が疑われる場合、一部分歯髄をとって被覆する方法:Partial Pulpotomy
  • Partial Pulpotomy より確実に感染が疑われる歯髄をとるため歯冠部歯髄を除去して被覆する方法:Full Pulpotomy
  • 歯髄に近接したむし歯を残して周囲の健全歯質で封鎖する方法:Indirect Pulp Capping

 

ちなみに、深いむし歯でズキズキ痛むような自発痛がある場合、コールドテストで痛みを感じ、痛みが持続する場合などは、歯髄が感染・不可逆性の炎症を生じているので抜髄(いわゆる神経を抜く処置)へと移行します。

 

我々、開業医であれば、歯髄を除去した歯、つまり失活歯の歯根破折(根っこごと割れてしまうトラブル)に悩まされることが多く、なんとか歯髄を保存できないか悩むわけですが、本来、VPTは若年者(20歳前半くらいまで)に適応される処置であるとのことでした。これは年齢を重ねるにつれ、歯髄の神経組織、血管組織が少なくなって回復能力が低下するためと言われています。

そう考えると歯髄の老化は20歳以降で生じてくるので、老化が早い部分と言えるかもしれません。

 

Bjondalらの研究によると成人のDirect Pulp Cappinngの成功率は31.8%、
成人のPartial Pulpotomyの成功率は34.5%です。

逆に小児患者におけるDirect Pulp Cappingの成功率は94.5%(Parinyaprom2018)、
小児のPartial Pulpotomyの成功率は96%となっています。

 

つまり小児や若年者であれば歯髄を保存できる可能性は極めて高く、成人では難しい処置となります。

 

でも、自分の医院ではどうだろう??

結構、成人にもDirect Pulp Cappinngしていますが、今のところ成功率は50%くらいと感じています。

これはカリエスの進行具合や、歯髄組織の活性の個人差によるものでしょう。

歯髄腔が小さくなって、組織の活性が落ちているような中高年では難しいかもしれませんが、症例を見極めてチャレンジする価値はあると思っています。

 

日本では頑張って歯髄を残そうとする各種処置の治療費が激安なので、いちかばちかやってみましょうとなりますが、すべての処置で高額な診療費がかかる米国では、成功率30%ほどの治療を患者に勧めることはありません。なのでそれほど熱心に研究は行われてないと思います。

 

しかしながら・・・、諦める事なかれ。

成人でも歯髄を保存できる成功率の高い処置が実はあります。

それは

・成人のFull  Pulpotomyは98.4%の成功率(Taha 2018)

・成人のIndirect Pulp Cappingは98%の成功率(Jordan 1971)

 

健康な歯髄に見えても感染しているか、炎症があるかを科学的に判断する方法がないので、老化が始まっている、再生能力の乏しい成人の歯髄では、確実に感染・炎症歯髄を除去した方が成功率が高いのでしょう、これらの理由から成人のVPTではFull Pulpotomyの成功率が極めて高いのだと言えます。

Indirect Pulp Cappingは歯髄に近接したむし歯、これを除去したら歯髄が露出してしまう様な場合に、わざと一層むし歯を残して、その周囲はむし歯を取り切って封鎖し、むし歯菌の活性を止めて、進行を食い止める方法です。つまりは虫歯菌の飢え殺し。これは封鎖が何しろ大切なので、その後の補綴処置が重要になります。

 

おいおい、むし歯残すって?

 

と思われた方もいると思いますが、私は今まで乳歯では独自に考えて行っていた方法なので、成人でもうまくいくようなイメージがあります。

乳歯の場合、生え替わりまで保存できればOKなので、痛みがない深いむし歯はあえて攻めずに、周囲をとってサホライドを塗布して、塞ぐ、そうするとそのまま生え替わりまで保存できることがほとんどです。

 

 

VPTについて、

小児は自発痛さえなければ、どの方法でも歯髄を保存できる確率は非常に高い。

 

じゃあ、成人の場合はどうなのか、まとめると・・・。

 

 

・症例の選択によるかもしれないが、ほぼむし歯を取り切れた段階で歯髄が露出した場合:Direct Pulp Cappingを試みる。ただし成功率は半々。

・もっと確実性を求めるなら歯冠部歯髄を除去する:Full  Pulpotomy

・そもそも歯髄に触れたくない場合は:Indirect Pulp Capping

 

という選択肢になるかなと思います。

 

繰り返しになりますが、Direct Pulp Cappingの成功率が低い理由は、歯髄までむし歯が及んでいる場合、どこまで歯髄の炎症が進んでいるか、科学的に判断する基準がないからです。

 

あ~、大事なことをもう一つ。VPTは歯髄を保存できる有用な方法になりますが、歯髄近辺を処置するので、ほぼ確実に歯髄の石灰化、狭窄化が生じます。つまりVPTがうまくいかないと根管治療(歯髄を取る処置)へ移行しますが、この根管治療が難しくなります。場合によっては根管治療を諦めて、外科的な処置に移行する場合もあります。

どの治療にもメリット、デメリットがあるということです。

 

 

長文になりましたが、歯髄を保存できるかの瀬戸際の処置が、顕微鏡使おうが、1時間かけようが、日本では1,200円くらいです(笑)。桁間違ってない??

歯髄を被覆するためのMTAの材料費にもなりません。

なので、歯髄を保存する、今まで述べたVPTを保険診療で行うことは今後、考えておりません。

値段設定はまだ考慮中で、根管治療の抜本的な見直しと合わせていきたいと考えています。

 

今は、顕微鏡つかって、NI-Tiロータリーファイル使って、バイオセラミック根管充填剤つかって、保険でやっていますが、今後は変えていきますよ。

 

今現在、当院で根管治療を受けたり、VPTを受けている方は、じつはかなりお得なのです。
まあ、今は修行中ということで。

さて次回(第9回)は「歯根端切除の序章、支台築造の実習」になります。

博多駅前はクリスマスのイルミネーションで華やかで、人も賑わっています。

 

これから冬場を迎え、飛行機が無事に飛んでくれるか心配・・・。

Basic Course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して⑦

2025/11/02


新潟市西区 歯周病専門医 いとう歯科診療室のブログをご覧頂きありがとうございます。

 

今回は再根管治療についての実習でした。

はて?

再根管治療って何?

深い虫歯や、外傷などにより、一度歯医者さんで根管治療(歯の神経をとると表現される)を受けたが、不幸にも根管内に存在するバクテリアに免疫系が勝利することができず、根尖病変ができてしまうことです。

ほとんどの場合、慢性的な病変となるため、症状が出ることは乏しいですが、骨内部に細菌感染が生じているという意味では、歯周病と共通点があります。

なので症状がなくても良い状態とは言えませんし、根尖病変には大腸菌をはじめ、様々なバクテリアが存在しています。

 

日本では再三、お伝えしておりますが世界基準で根管治療が行われていないため、初回の根管治療の成功率が先進諸国の中では著しく低いため、再根管治療が多い、先進国のなかではお祭り状態です。

 

一度、歯医者さんがそれなりに治療した部位というのは、再度、治療を行うにしても初回に比べて成功率は下がります。

 

米国では初回の根管治療を世界基準で行うため、再根管治療のケースが著しく少なく、再根管治療を飛ばして次のステージ、つまりは歯根端切除、意図的再植へ移行します。

 

1回目の根管治療がどのような状況下で行われているのか?どのような治療がなされているのか?が再根管治療の難易度を左右すると思います。

 

これが面白いことに、拙い治療が行われていれば、再根管治療で治癒する可能性が高いのです。

一番大変なのが、ラバーダムもせず、口腔内のバクテリアが入り放題の状況で一生懸命根管治療が行われ、必要ないのにガッツリとメタルポストが装着されているケース。

元々の根管の形態が破壊されているケース、歯肉に近い位置で歯に穴が空いているケース、その難易度は様々です。それぞれ成功率の目安があります。やってみないとわからない部分もありますが、それぞれのケースで成功率の目安があるのがアメリカの歯科教育の先進性を感じてしまいます。

 

前回、座学で再根管治療のあれこれを学びましたが、今日は装着されたメタルポストコアの除去方法、根管内のガッタパーチャの除去方法、再根管形成の実際、などについて実習しました。

 

メタルポストを外す際に、ドライバーや、ましてや兼松鉗子を使用することはありません。歯根破折を誘発するので。

 

セメントのラインが出るまで、歯質をなるべく削らないよう、専用の切削バーを用いながらメタルポストを削ります、あとはVPチップを装着した超音波で除去していくというもの。

この専用の切削バーは単回使い切りで約3,000円します。保険診療ではポスト除去は600円だか800円だかしか頂けないので、1本のバーですでに赤字です。この値段設定した人は自分でメタルポストを外したことがない人でしょうか?まあ、それは日本の医療あるあるなので。

 

再根管治療は、最初の根管治療に比べて、除去しなければならない物も多く、器具も増えるし大変です。

 

メタルポストコア、ファイバーポスト、コアレジンなどを除去して、根管内に充填されている、薬(ガッタパーチャ)を除去したあとは、通常の根管治療のプロトコールに戻ります。

 

このガッタパーチャを除去する手順も、従来の日本の方法では効率が悪いため、そのための薬剤と超音波、除去するための器具を使用して根管内になるべく残存しないよう除去していきます。

 

顕微鏡で内部を確認しながら進めていくので、今までのようになんとなく除去して、根尖まで器具が届けばよし、という状況から一変しました。

今までも再根管治療は大変だったけど、もう少し、確実に丁寧で、システマチックに進めることができそうです。ただ、丁寧に進める分、時間はかかります。

 

パラレルに入ったメタルポストは外せない!一度根管内に入れたものは完全には除去できない!ことを僕ら日本の歯科医師は考えた方が良いですね。

 

そして相変わらず素晴らしい実習施設。すべてのデスクに顕微鏡が完備され、歯科治療に必要なタービン、エンジンもある。これがとても獣医師の研修施設とは思えない。

自費診療の獣医師と、保険診療の歯科医師、気づいたら随分と差がついてしまったようです。

 

さてこのコースも中盤を過ぎ、次回は最後の座学「生活歯髄療法」です。これは自分も今まで取り組んでいた分野なので、楽しみです。

Basic Course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して⑥

2025/11/02


Basic course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して⑥

新潟市西区 歯周病専門医 いとう歯科診療室のホームページをご覧頂きありがとうございます。

 

今回は6回目「再根管治療の意思決定と実際」についてでした。

 

「なんか根っこの先の方の歯ぐきが腫れて、つぶれました、長い間くりかえしています。」

 

よくある患者さんの主訴のひとつ。根尖病変からの膿の出口、いわゆるサイナストラクトがある状態。

前医で根管治療を受けていたが、再発した場合の対処法について学びました。

 

1回治療を受けて再発しているので、大体の場合が治療の成功率は低下しますが、そのなかでも再治療によって治癒が見込めるケースとそうでないケース、について理解を深めることができました。

 

要はやみくもに再治療するのではなく、ケース選択が重要になります。根管治療が充分に行われていない場合、未処置の根管がある場合、根管治療後の補綴処置(被せ物)があまい場合、などは再治療の価値があるかもしれません。もっと分類がありますが、ここでは省きます。

逆に再治療では厳しいケースは、前医が一生懸命治療しようとして、根管形態が保たれてない場合、根管に穴が空いている場合、根尖が破壊されている場合、などです。

なにしろ、口という狭い視野で、根管という見えない部分を治療するので、優秀な歯科医師でもこのようなトラブルは治療と隣り合わせなのです。なのでアメリカでは高額なのです。

 

むし歯も歯周病も、そして根尖病変も、歯科における病気は細菌感染症です。

根管治療後に補綴処置があまいと、隙間から細菌感染し、根尖病変にまで至ることもあります。根尖病変からは大腸菌が検出されるというのも驚きです。

 

ほんとはしっかりした根管治療を受けたら、精密な補綴が必要になります。

これを保険で行っていくのはかなり困難など感じています。

 

また、「歯ぐきが腫れて、つぶれて、を繰り返しています」という状態。

口腔内から膿の出口を通して、細菌は根尖に行ったり来たりフリーパスの状態になるので、根管治療での治癒率が著しく低下します。

長期間の放置はその歯を根管治療で治癒に導くには難しくなることを理解して欲しいと思います。

ただ、症状にでることは少ないので、残念ながら放置しがちです。

 

再治療で治癒するかもしれない!となっても、テクニカルに困難なことが多いのです。

装着された土台の除去、根管内に充填された薬の除去、再根管形成や、根充方法について学びました。

 

次回は7回目、上記のテクニカルな部分の実習になります。

どれくらい早く土台が除去できるのか、楽しみ。

Basic Course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して⑤

2025/11/02


新潟市西区 歯周病専門医 いとう歯科診療室のホームページをご覧頂きありがとうございます。

 

ブログの文章は出来上がっていたのですが、アップするのを忘れていました。

連続投稿になります!

 

今回は5回目「根管洗浄(根管洗浄剤の種類と選択、positive PressurePatency fileMDAUltrasonicSonicNegative Pressure)、根管貼薬、仮封についてでした。

 

神経と血管が入っていた管である、根管をいかに洗浄していくか、という話です。これも日本では歯科医師ごとに方法は千差万別だと思います。

 

各研究から最良の方法は何か、トラブルが起きないようにするにはどうしたらよいのか、比較検討し、それを大学で教える米国のやりかたを実感することになりました。

 

しかも、結論から言うと「どのような薬剤で、どのような方法で洗浄するかより、根管形成がどのような環境下で行われているか、の方が大事」という結論には驚きました。

「どのような環境下」という意味は、しっかりラバーダム(ゴムのマスク)がされているか、滅菌済みのファイルを使用しているか、洗浄液に浸しながら根管形成しているか、などのことを意味しています。

もう、次亜塩素酸ナトリウムと過酸化水素水の交互洗浄などは話にも出てきません。

 

次亜塩素酸ナトリウムは開封した時点で、濃度が徐々に低下するので、濃度を一定に保ったまま使用するのは不可能。なので、できるだけ冷蔵保存して、使用する前に希釈するなどの手間が必要だが、濃度に関してはそれほど繊細にならず、ざっくりの管理でよいとのこと。

 

根管洗浄といえども、色々な方法、器具があり、どれを選択していけば良いのか?超音波?音波?は使用するか。洗浄針のサイズは?洗浄針の形態はopen?かclose?かなど、よくわからなかった。なんとなく大学で教わったこと、勤務先で教わったことをミックスして我流で行っていました。

今日の講義を聴いて、上記のことが明確になり自分なりのプロトコール(レシピのようなもの)ができあがりそうです。

 

また少しレベルアップ。

 

来月は再根管治療(前医で治療を受けた歯の再治療)について学びます。

また色々と視野が広がりそうで、楽しみ。

Basic Course2025への参加 世界基準の根管治療を目指して④

2025/08/29


このコースもはや4回目、1/3が終了したことになります。

今回は「細菌の減少と拡大号数、歯根破折を防止するような根管形成方法は?最良の根管充填方法とは何か」の講義を受けてきました。

 

アメリカのすごいところは、様々な治療方法を基礎、臨床研究から良い方法を検討して、採択し、大学にてしっかり教育するところでしょう。

日本では根管治療の講義はどうなっているのだろう。私がいた頃と変わらない内容だとしたら、かなり遅れていることになる。

 

従来の方法で根管治療を行うと失活歯のトラブルの代名詞、「歯根破折:歯の根が折れてしまうこと」が生じやすいが、現在、学んでいる米国式根管治療を行えば歯根破折は防ぐことができる。

皆さんにはわかりやすく「神経と血管を除去した失活歯は脆くなるので、歯根破折が生じやすい」と説明していますが、マニアックに説明すると、その神経と血管を除去する方法によって歯根破折が生じやすいか否かが決まるということです。

 

細菌を除去でき、あまり大きく根管を削らない号数はいくつなのか、手間がかからず、緊密に根管を充填する方法はどのような方法なのか。

 

講義を受けて明確になりました。

 

日本では一番の不採算部門である根管治療。最新の方法を学ぼうとする熱意を持った先生方の中で勉強していくことは自分のモチベーションにもなります。

 

また来月、講義ととんこつラーメンを楽しみに、日々精進。

Basic course 2025への参加 世界基準の根管治療を目指して ③

2025/07/27

ホームページをご覧頂き、ありがとうございます。

6月下旬に松浦顯先生主催のBasic Course2025 第3回に参加してきました。

待ちに待った、マイクロエンド実習が福岡で行われました。

今までの講義で頭でっかちになっていることを実技で落とし込む。

抜去歯を使って、顕微鏡など設備が整っている研修施設で修行を積んできました。

 

さて、この研修施設、実は獣医さん向けの施設なのです。

獣医さんは小さい動物も扱うのでしょうから、顕微鏡を使うのが当たり前なのでしょうか?

人の治療でも顕微鏡を使うのは一部の歯科医師に限られるのに。

 

保険診療で異常に低く設定されている診療費で治療を行わないとならない医師、歯科医師、と比べ獣医さんは保険制度がない、つまり自費診療なので、最新の設備、材料で治療を行うのでしょう。

今、病院の倒産が相次いでいます、看護師の離職も問題になっています。歯科衛生士の離職率も50%を越えました。歯科技工士はもう絶滅危惧種で、今後、保険で義歯を製作する技工士は確実にいなくなります。これら、医療を取り巻く諸問題は全て、この低診療報酬にあると思います。

皆さん、日本の診療費は高いと思いますか?世界中、こんな安価で治療を受けられる国はありません。もし、日本の診療費が高いと思っているのであれば、世界の先進国がどうなっているのか知る必要があります。

「世界に冠たる日本の保険診療」とか言ってる人は頭がお花畑です。いままでは安価に、どこでも医療が受けられるという良い側面もありましたが、何十年も変わらないこの制度は、物価高騰や人件費高騰、働き方改革についていけず、国も財源がなく、時代に合わなくなっていると思います。医療を支えるコメディカルスタッフの方々がどんどん離職しています。病院の倒産のニュースも頻繁に目にするようになりました。

 

おっと、今回は日本の保険制度の話ではありませんでした。ヒートアップしてしまいます。

 

なぜ、保険制度を語らないといけないのか。

 

今回、なぜ私が米国式根管治療を学びに時間的にも経済的にも投資しているのか、ですが、それは日本の従来の根管治療から脱却し、材料も質も最高の医療を提供したいという思いからです。まともなことがしたいと願う歯科医師の純粋な思いです。ただ、この方法を日本の保険診療下ではとても行えない。

なぜなら、日本の保険制度では、ざっくりですが大臼歯の根管治療は1万円ちょいです。その3割を負担するのですから皆様のお支払いは3,000円ちょいですね。75歳以上だと1,000円ちょいでしょうか。アメリカの歯科医師が日本の診療費を聞くと安価すぎて腰を抜かします(笑)。いや、笑えない。

 

米国式根管治療で行うと、使用する器具、材料費で1万円を超えてしまいます。

つまり、施術している歯科医師、補助につくスタッフは完全にタダ働きです。

 

論文や臨床的な結果から見て、従来のハンドファイルで治療を行うより、顕微鏡を用い、ラバーダムをかけてNi-Tiロータリーファイルを用いて、根管充填にはバイオセラミック系シーラーを用いる米国式根管治療が明らかに良い方法であるのに、先進国であるはずの日本ではとても行えません。大赤字です。

 

じゃあ、明らかに劣っている従来の方法で良いのか?

 

私は根管治療に関しては米国式根管治療を導入して、西区で歯周病と根管治療では目立つ存在になりたいと思っています。

 

ここ、数年はトレーニングのため、赤字覚悟でやっていこうと思いますが、将来的には技術、高価な材料に見合う、自費診療へと切り替えていきたいと思っています。

 

さて、実習ですが、CTにてあらかじめ根管形態を確認し、形態や難易度によってやる手順を決めて取り掛かっていきますが、今までのハンドファイルとは比べられないほど、根管内は綺麗に形成され、そしてハンドファイルより早いのです。

細かい手順や技術は記載しませんが、一度、米国式根管治療を経験すると、元には戻れないと感じました。

 

そして、実習で各ステップに行う手順の重要性、必要性がよく理解できました。

 

あとは顕微鏡の扱いをトレーニングするのと、この根管治療の手順を体に染み込ませるのみですが、1年はかかるかな。

Basic course 2025への参加 世界基準の根管治療を目指して ②

2025/06/25

ホームページをご覧頂き、ありがとうございます。

さて5月下旬に博多でご開業されている米国歯内療法専門医 松浦顯先生が主催する根管治療セミナー「Basic course2025」の第2回に参加してきました。

2回目のコンテンツは

・米国歯科大学院における根管形成方法

・作業長の決定方法

・拡大号数(MAF)の決定方法

・グライドパス

・石灰化根管で穿通しない場合の対応方法(メカニカルペイテンシー)

・根管充填方法

 

などについてでした。歯科医師でない方にとってはチンプンカンプンだと思います(笑)。

 

それぞれの手技には理論が裏打ちされ、なんとなく今までやっていたことが、ことごとく覆される感じ。

そして今までやってきた根管治療からだいぶ進化する予感。

 

また、使う道具や材料も細部にわたって教えて頂けるので、迷うことがありません。

500枚以上に及ぶスライドの復習も楽しみながら行っています。

 

さて、次回の6月は、いよいよ抜去歯で実習が始まります。

講義の復習に加え、米国式根管治療に必要な器材や材料を購入、実習に使う抜去歯を選別、CTを撮って分析などやることが盛りだくさん!

 

前回は何かと忙しく、博多で滞在しているのに、豚骨ラーメンを食べられなかったので、

今回は講義、懇親会終了後に、満腹をおして「一蘭」に行ってきました。

博多グルメも楽しみの一つ。